Skip to content

グラフの役割

「関係性を辿って世界や情報を探索・構成する仕組み」であるグラフについて、目的・利用者・データ構造を整理する。

グラフの目的(決着)

grillingによる深掘りの結果、グラフの目的は段階的に持つと決着した。

  • 閲覧・整理用途 — Webサイト上でカード同士のつながりを辿れる。
  • 制作支援ツール — GM/シナリオ作者が、関係性グラフを見ながらシナリオや世界を設計する道具。

この2つをまず確定させ、「グラフの形状・接続関係がセッション進行中の判定・分岐・カードの解放条件などに直接影響する」というゲームメカニクスへの組み込みは、将来の拡張候補として保留する。

エッジの種類(決着)

カード化の判断基準の軸2で「物語上意味を持つ関係性のみカード化し、些末な関係性はタグ止まり」と決まっていることに対応し、グラフのエッジは次のように区別する。

  • 太いエッジ — カード化された関係性(例:「幼馴染」カード)
  • 軽いエッジ — カード化されていない、タグ止まりの軽い紐付け

初期実装では太いエッジ(カード化された関係性)のみから始め、軽いエッジの表示は段階的に拡張してよい。

グラフの利用者とロール別の見え方(決着)

グラフの見え方を考える上で、次の4ロールを区別する。GMとシナリオ製作者は兼任されることも多いが、「見たい範囲」は役割ごとに変わり得るため、設計上は分けて扱う。

ロール用途
システム製作者システム全体の構造グラフ(カード種別間の依存関係、ルール同士の参照関係など)を見て、整合性・拡張性を検証する
シナリオ製作者担当シナリオ内の全カード・全関係性(GM専用の未公開情報も含む全体像)を見て、伏線・分岐を設計する
GM担当セッションの全体グラフ(未公開含む)に加え、「現在このセッションでどこまで場に出したか」という進行状態を重ねて見る
PL発見済み・公開済みのノード・エッジのみからなる部分グラフを見て探索する

可視範囲の実現方法

同一のグラフデータに対して、ロール・進行状態に応じた権限フィルタ(絞り込み表示)を基本とする。ただし、PLの「探索体験」は演出・UI要件が制作側と大きく異なるため、PL向けだけは体験重視の専用ビューを別途用意する。

シナリオ生成支援としての使い方(決着)

グラフは、シナリオ制作者やGMが眺めながら手動でシナリオ・世界設定を組み立てるための参考資料としての可視化にとどめる。グラフの構造(孤立したノードなど)から自動的にシナリオ要素を提案・生成する仕組みは、将来の拡張候補として保留する。

PLの探索体験(決着)

  • セッション中 — PLの体験は従来通り「手札からカードを選ぶ/場に出たカードを見る」というカード操作のみ。グラフを画面上で直接操作することはない。
  • セッション間(世界観閲覧・振り返り)カルタグラフ構想のWebサイト構想(カードを開く・並べる・関係を辿る体験)と同様に、グラフを直接操作して探索できる。これは「セッションが中断したときに、どこまで発見していたかを思い出す」用途も兼ねる。

正史グラフとPC発見グラフ(決着)

グラフは、視点によって次の2種類に分かれる。

  • 正史グラフ(GM/シナリオ製作者視点) — その世界(シナリオ)の客観的な設定・関係性全体。シナリオ単位で持つ(後述の通り、最初から「世界」という固定階層は作らない)。GMは基本的にこれを全部見られる。
  • PC別の発見グラフ(PL視点) — 各PC(プレイヤーキャラクター)が、これまでのセッションを通じて発見・開示してきた範囲の部分グラフ。PC単位で永続化する。正史グラフのサブセットに加え、そのPC固有の情報(個人的な関係性・秘密など)を含み得る。

PC発見グラフの共有単位

パーティで複数PCが同じセッションに参加する場合、発見グラフは基本的にパーティ単位で共有する。GMが「このPCだけが知る情報」と明示的にマークしたものだけ例外的に個別化する。これは場のゾーン構造(GM専用ゾーン/PL可視ゾーン)と一貫する。

セッションスナップショットとマージ

セッション開始時に、正史グラフ(+そのPCの発見グラフ)から必要な範囲を作業用コピー(セッションスナップショット)として持ち出す。

  • セッション中の開示・変更は、まずこのスナップショットに記録される。
  • 正常終了時 — 差分をPC発見グラフへマージする。正史グラフそのものへの反映は行わず、GM/シナリオ製作者が別途「正式採用」を判断したときに初めて正史グラフを更新する(進化ループと同じ、人間の判断を挟む構造)。
  • 破棄時 — スナップショットごと捨て、正史グラフにもPC発見グラフにも一切影響を与えない。

初期実装は「正史グラフ(シナリオ単位)」と「セッションスナップショット」の2階層から始め、複数セッションをまたぐキャンペーンプレイが実際に必要になった時点で、両者の中間に「キャンペーンスコープグラフ」を追加する、という段階導入でよい。

なお、異なるPCが同じシナリオでどう違う選択・結末に至ったかを比較して読む体験(PC間の比較体験と称号タグ)は、このPC発見グラフのサブセットとしては表現しない。PC発見グラフが表す「世界のどの断片を発見したか」という空間的な構造とは性質が異なるため、セッションログから作られる別の軽量なデータとして持つ。

正史グラフの共有ライブラリ化(決着)

「かっちりした固定の世界を最初から作る」方向は採らない。正史グラフはシナリオ単位をボトムアップの基本とし、次の形で再利用・共有を進める。

  1. あるシナリオの中で生まれたカード・関係性を、システム製作者(またはシナリオ製作者)が見て「これは他のシナリオでも使えそうだ」と判断したものを共有ライブラリへ格上げする。
  2. 格上げの判断は、複数シナリオを見比べての事後判断・企画段階からの意図的な設計のどちらもあり得る。判断基準の詳細(面白さ・汎用性の評価方法など)は進化候補の評価で扱う。
  3. 共有ライブラリは、新しく作るシナリオが土台として選べるテンプレートとして機能する。既存シナリオのカードを書き換えることはない。

これにより「シナリオ作者が他のシナリオと正史を共有する」ことを、トップダウンの世界階層を固定せずに実現できる。この一連の流れは進化ループ(一次情報→二次情報→人間の判断→三次情報)と同じ形の「人間の判断を挟むボトムアップの格上げ」であり、既存の考え方と一貫する。

将来の拡張候補(保留事項)

  • グラフの形状・接続関係が、判定・分岐・カードの解放条件などセッション進行中のゲームメカニクスに直接影響する使い方
  • グラフの構造から、シナリオ要素(伏線候補・シーン候補など)を半自動で提案・生成する機能

いずれも、論点D(カードの裏表の詳細運用)・論点E(進化候補の評価)や、まだ設計していない生成支援の話と結合が強くなるため、現時点ではスコープ外とする。